■第壱楽章│天手力女
○タイトルについて
ご覧の通り「天手力男」の「男」の部分を「女」に記述変更したものです。
すべての楽章のタイトルはももクロの曲名をもじったものにしようと決めていましたが、実はその曲の歌詞も積極的に文中に取り入れていこうと考えていました。
例えばこの第壱楽章ではももたろうに「(イガイト カンタン…)」と言わせせみたり。もしよかったら文中にちりばめられている歌詞を探してみてください。
○桃が川上から流れてくるエモさ
「ある日のこと。おばあさんが川で洗濯をしていると、それまでに見たこともないような大きな『桃』が川上から流れてきた。」
ちょっと考えてみてください。むかしばなしの『ももたろう』って、冒頭で『大きな桃』が『川上』から流れてきますよね?
モノノフの皆さん、これって何か運命的なものを感じませんか?僕はその事に気がついてから、いてもたってもいられずにこのお話を書いてしまったのです。
○エビ反りジャンプについて
「こうして、おじいさんとおばあさんは、桃の中から玉のような赤ん坊が(しかも“エビ反り”をしながら空中に)飛び出してくるという異常事態の、人類史上初の目撃者となった――――。」
モノノフの皆さんはご存知の方も多いと思いますが、夏菜子ちゃんのえびぞりジャンプに感銘を受けたHMV渋谷店チームリーダーの佐藤さんが、店内に『このジャンプがアイドル史を更新する。』というポップを立てました。
そこから「ももクロ=夏菜子のえびぞりジャンプ」という初期のイメージが浸透したというエピソードがあります。
実はその佐藤さん、その後スターダストプロモーションに転職し、ももクロの宣伝担当スタッフになりました。それ以降、HMVとのタイアップが増えたのは佐藤さんのおかげ、と言われているそうです。
○「ももたろう」という名前について
「おばあさんや、この子の名前なんじゃが…桃から生まれてきた子なんじゃから『ももたろう』というのはどうじゃろう?」」
キングレコード宮本純乃介氏が改名後のグループ名「ももいろクローバーZ」の発案者と聞いて書いたエピソードです。
実は主人公の名前は、旧作では「ももクロ」をもじって「モモクロウ」としましたが、やはり「ももたろう」の方がしっくりきます。なので、子供のころは「桃太郎」、大人になって「百田郎」に改名する、という設定で書きました。
○『青き丘の国』と『星屑村』について
「『青き丘の国』というのは、ももたろうたちが住む星屑村のはるか西方にある王国のことである。」
このお話は現実の世界で言うと、スターダストプロモーションのある東京の恵比寿から、夏菜子ちゃんの故郷である浜松までを旅する設定で書きはじめました。
なので『青き丘の国』っていうのは静岡県のことです。ちなみに静岡県は「富国有徳――しずおかの挑戦」というのを県政のキャッチコピーにしているそうなので、王様の名前を『富国有徳王(フコクユウトクオウ)』としました。
○登場人物について
実は当初、このお話はもっともっと短いものを想定しておりました。ももたろうが仲間を集めて鬼退治してめでたしめでたし、という程度のボリューム感です。
ところがプロットを書きはじめた時点で、登場させたい人物が膨大になってしまうことが判明し、大勢の人物を登場させるため、敵対勢力である鬼側にもきちんとキャラクターを付けようと考えなおした経緯がありました。
「儀装馬車を操っている御者はおかっぱ頭に眼鏡をかけた気の弱そうな男だ。ずんぐりとした体形で、くちびるがぶ厚つい。明らかに動揺した顔をしている。」
この閼伽凛皇女の従者のキャラクターが南海キャンディーズの山ちゃんを想定しているって、すぐに気がついてもらえましたでしょうか?
実は最初にこの第壱楽章を友人たちに読んでもらった時、誰にも実在の人物とリンクしているってことに気がついてもらえなかったんですよね(笑)
そこで急きょももたろうが散歩の途中で井戸端会議をしている村人に出くわすシーンを付け加えたんですが、焼け石に水だったかもしれません。